フリーライター『日日maika’i』

フリーライター杉山 忠義が書くブログです。

青梅・明白院の対のしだれ梅

 

JR青梅線宮ノ平(みやのひら)駅」から徒歩5分の場所にある明白院(めいばくいん)は、以前紹介した「吉野梅郷・梅の公園」とも近く、約2キロという距離です。

 

創建は天正(てんしょう)年間(1573年~1592年)の頃。地元有力者の館(城)から移築したとされ、安土桃山時代の趣が残る木造茅葺きの山門が特徴的で、市の有形文化財の指定を受けています。

 

明白院

 

しだれ梅は、寺の前を走る青梅街道(国道411号)沿いに面した、石垣ひな壇の中段にあり、「玉垣しだれ」とも呼ばれ、歩行者やドライバーに存在感を示しています。なお玉垣とは、神社仏閣の周囲に設けられた、木・石製の垣を意味します。

 

明白院のしだれ梅

 

青梅街道は全国的にも有名な市民マラソン大会「青梅マラソン」のコースとなっており、例年大会が開催される頃が梅の見所のため、ランナーの疲れを癒していることが想像できます。

 

堂々というよりも上品という表現が適切で、樹に近づくと、あたり一面に漂う梅の香りに安らぎを覚えるとともに、自然と笑顔になっていました。

 

明白院のしだれ梅

 

雪吊りも見事ですが、そばにある、松、山門とのコラボレーションも趣があり、「雪景色での梅の姿も見たい」との気持ちになりました。実際、年によっては梅が咲く頃の積雪があるそうです。木製の支柱、藁の留め具、雪吊りのきめ細やかさなど。樹をケアする方の愛情が、手入れの様子から伝わってきます。

 

明白院のしだれ梅

明白院のしだれ梅

明白院のしだれ梅

 

今冬は寒さが厳しかったことから、例年であれば花が咲き出す2月20日に訪れた際には、梅の花はまったく咲いていませんでした。そこで約1カ月後のお彼岸の頃に再び訪れると、満開のしだれ梅に。

 

明白院のしだれ梅

明白院のしだれ梅

 

樹齢はおよそ100年、市の古木に指定されています。一見すると2本の樹に見えますが、近づくと根は1本で、地面から高さ1.5mほどで2本の幹に別れています。樹の横に回ると枝垂れの様子が見事で、梢が地面についている枝もありました。

 

明白院のしだれ梅

明白院のしだれ梅

明白院のしだれ梅

 

ただ残念なことに、2009年以降、辺り一帯でプラムポックスウイルス(PPV)というウイルス性の植物の病気が発生しました。多くの梅の木が感染していることが分かり、明白院の梅の木もその1本でした。

 

ウイルスに感染している植物の果実を、人や動物が食べても影響は全くないそうですが、被害拡大を防ぐために感染していると分かった木は、随時伐採しているそうです。そしてこのしだれ梅も、近く伐採されるとのこと。毎年の開花を楽しみにしていた大勢の方が、最期の開花を観に同寺を訪れている姿がありました……。