フリーライター『日日maika’i』

フリーライター杉山 忠義が書くブログです。

岩手県盛岡市の石割桜

石割桜

 

石割桜が立つ場所は、JR盛岡駅より歩くこと約20分、盛岡地方裁判所構内です。あたりにはオフィスビルなどが立ち並び、市の中心街という印象。途中渡る大きな川には、白鳥の姿がありました。

 

 

車の往来が激しい大通りに面した裁判所の入り口そばに、雪吊りの化粧が見事な石割桜は立っています。なるほど、石割桜というネーミングに納得です。

 

石割桜

石割桜

石割桜
 

元々この場所は、盛岡藩の家老であった北家の屋敷であり、巨石は庭石であったそうです。石の大きさは、幅約7.5m、奥行き約3.7m、高さ約1.8m、周囲の長さ約21mと、まさしく巨石。豪華な屋敷であったことが想像できます。

 

サクラはエドヒガンという野生種で、石の割れ目に偶然種が落ち、そこから芽を出し、今に至るまで成長したと伝えられています。割れ目ができた理由は、落雷ともいわれています。

 

エドヒガンはその名の通り、彼岸の頃に花を咲かせます。少し時期がズレてはいますが例年4月中旬から下旬に開花し、白っぽい小さな花を咲かせるそうです。他のサクラに比べ早く咲くのが特長で、盛岡市内で最も早くサクラとして、毎年市民に春の訪れを伝えています。

 

樹高約11m、幹周り約4.6m、樹齢推定350~400年。枝張りが東西に約16m、南北に約17.1m。通りから見ると1本の樹に見えますが、横にまわると2つの幹であることがわかります。手前大通り側の幹が太く、幹周りの大きさは2つをあわせた大きさのようです。

 

石割桜

石割桜

石割桜

 

樹を保護する藁の部分がちょうど割れ目で、一直線にスパっと端から端まで割れています。巨石を上から真っ二つに、大鉈でぶった切ったかのような印象を持ちました。しかし、これだけの細い割れ目にこんなにも立派な巨樹。いったい、割れ目の中がどうなっているのか、のぞいてみたいものです。

 

さらに驚いたのは、サクラの成長につれて割れ目が広がっている、ということです。そう、サクラが割れ目を押し広げ成長しているのです。実際に割れ目の大きさを測ろうとメジャーを持参したのですが、国の天然記念物指定を受けており、柵があり根元に近づくことはできませんでした。

 

巨石の土台と一体となったドッシリとした幹からは、まるで触手のように枝が伸びていて、サクラというよりはシイノキやクスノキという印象を持ちます。1932年(昭和7年)に同裁判所が火災に遭った際、石割桜も北側の一部が焼けたそうです。しかし、翌春には花を咲かせたのこと。割れ目を広げるパワーも含め、改めて生命力を感じます。

 

石割桜

 

2月に訪れたので、あたりには雪が残っていました。しかし、梢を見ると小さいですが、つぼみが確認できました。ヒガンザクラは以前紹介したヤマザクラと同様、長寿として知られ、樹齢2000年を超える樹もあるといいます。

 

これからもますます元気な姿で盛岡のシンボルとしてこの地に立ち、毎春咲く満開の桜で、市民の目を楽しませてくれることでしょう。