フリーライター『日日maika’i』

フリーライター杉山 忠義が書くブログです。

富士山・須走ルート

3776メートルという日本一の標高に加え、独立峰である富士山。登山ルートはいくつかあり、「吉田ルート」「富士宮ルート」「須走ルート」「御殿場ルート」とメジャーなルートは4つ。今回は「須走(すばしり)ルート」で登りました。

 

須走ルート

須走ルートhttp://www.fujiyama-navi.jp/fujitozan/route/page/subashiri/(富士山エリアの総合ガイド - フジヤマNAVIより)

 

世界文化遺産に登録されてからというのも、以前にもまして登山者数が増えていると聞きます。しかしその中にあって、須走ルートは空いているということで選択。実際に登ってみると、週末の奥多摩登山と変わらない程度の人で、スムーズな登山が楽しめました。

 

登り約7時間、下り約3時間、歩行距離約13キロメートル、標高差約1800メートル(5合目出発。同地点の標高が1970メートル)。4ルートの中では2番目に距離が短いのも特徴です。登山日は2013年8月29~30日。山小屋で一泊しました。

 

新宿駅から御殿場行きのバス

新宿駅から御殿場行きのバス

新宿駅から御殿場行きのバス

 

アクセスは東京から。新宿駅西口から出ている小田急箱根の高速バスを利用し、まずはJR御殿場駅を目指します(約1時間40分)。

 

御殿場駅

御殿場駅から須走口五合目までのワインディングロード

 

御殿場駅からは富士急富士登山バスに乗り換え、1時間ほどかけて富士山麓のワインディングロードをゆっくりと上がります。

 

1時間ほどで須走口五合目に到着。既に2000メートル近い標高のため、先ほどまでの蒸し暑さから一転、涼しい空気が漂っていて、当日は霧も発生していました。

 

高山病にならないようにと、ここで1時間ほどからだを慣らします。須走口五合目には休憩できる大きな食事処が2軒あるので、腹ごしらえや軽食・水の補充をすることも可能です。

 

ちなみに、ここから山頂までのトイレはおそらくすべて有料(1回200~300円)となるため、100円玉をたくさん持っていくと便利です。

 

富士山・須走ルート

富士山・須走ルート

 

整備された道をしばらく進むと、登山の安全を見守ってくれているのでしょう、神社がありました。この神社を抜けると、いよいよ本格的な須走ルートの始まりです。

 

富士山・須走ルート

富士山・須走ルート

富士山・須走ルート

富士山・須走ルート

富士山・須走ルート

富士山・須走ルート

富士山・須走ルート

富士山・須走ルート


火山岩だらけの登山道をイメージしていたのですが、いえいえどうして、しばらくは夏らしい緑が心地よい樹林帯が続きます。若い木もかなりあり、山が生きていることを感じます。

 

時折ルートから外れ、山頂までを見渡せるようなスポットがあり、そこでの景色はまさにイメージしていた富士山。いかにも火山灰(?)・岩という地層に、木や草がへばり付くような光景が広がっています。

 

強風によるものなのか、片側にしか枝葉がついていない木もありました。

 

富士山・須走ルート 新六合目

富士山・須走ルート 新六合目

富士山・須走ルート 新六合目

 

新六合目に着きました。約450メートル標高が上がったことになります。目印はなぜか「こいのぼり」。○合目の度に鳥居があるのも、富士登山ならではかと。「新」やら「本」やら、同じ六合目でもいくつかあるので、正直、ややこしいです。

 

 

登山道わきの草には、雫が。山は雨水をしっかりと貯めていることが分かります。

 

富士山・須走ルート 本六合目

 

本六合目に着きました。地図では標高2620メートルと書いてありましたが、山小屋の看板では2700メートル。先に続き、アバウトが多いようです(笑)。

 

このあたりから景色がいわゆる富士山っぽく、なってきます。雲も下の方に見えます。

 

富士山・須走ルート

富士山・須走ルート

富士山・須走ルート

 

七合目に近づくにつれ、次第に緑が少なくなり、振り返ると麓の街がまるでジオラマのように見えました。山中湖も小さく、フカヒレのような形が印象的です。影富士を見ることもできました。

 

富士山・須走ルート 影富士

富士山・須走ルート七合目

富士山・須走ルート 見晴館

富士山・須走ルート 七合目

 

宿は本七合目の「見晴館」。標高は既に3000メートルを超えています。高山病の症状なのか、こめかみや首にやや痛みがありました。

 

 

しかし頂きの方に目をやれば、山頂はもうすぐ。疲れも体調の悪さも和らぎます。

 

ただ、このとき南の海で台風が発生しており、上陸するかもしれないとの予報が。そのせいか七合目に到着する間際には、強烈な風と冷たい空気が、一気に登山者を襲ってきました。「富士登山をナメたらイカン」との言葉を実感します。

 

見晴館

見晴館

見晴館

 

山小屋での夕食はカレーでした。福神漬とらっきょうが食べ放題で、サラダも付いていました。ルーには具もたっぷり。見晴館は修復工事を繰り返しているようで、最近も行った模様。天井にはヒノキの真新しい梁があり、ヒノキ独特の心地よい香りが館内には漂っていました。

 

別館もあり、僕らのチームはそちらに宿泊。2人で1つの布団セットを使うシステムでそした。奇数であったため、僕は一人寝袋に。さすがは富士山の山小屋。Deuter製の本格的なシェラフで寝ていたら、夜は暑くて目が覚めるほど。貴重な水を大量に飲んでしまいました。。

 

強風と冷気は山小屋で仮眠をしているあいだに、一層増していきました。外の風音がとにかく強く、山小屋出入口のドアが吹っ飛ぶのではないか、と心配するほどでした。外に出る際も、ダウンやニット帽、手袋なしでは出られないほど。ただ山小屋の主人いわく「こんなもんですよ」。

 

そんな強風の中で無理やり夜景を撮影したため、カットはブレブレでした。

 

富士山・須走ルート

 

【2日目】

強風のため出発を少し遅らし、4時すこし過ぎに見晴館をあとにしました。外はまだ真っ暗。強風は変わらず。風に飛ばされないよう、一歩ずつ地面をしっかりと踏みしめ、進みます。そのためこの間、写真を撮る余裕はありませんでした。八合目の山小屋が風よけになってくれ、ようやく一息。ご来光もここで拝みました。

 

富士山・須走ルートでのご来光

富士山・須走ルートでのご来光

富士山・須走ルートでのご来光

富士山・須走ルートでのご来光

 

富士山・須走ルートでのご来光

富士山・須走ルートの朝焼け

 

その後、登山者が最も多いと言われる、吉田ルートと合流します。しかし特に人は増えませんでした。週末ではここで渋滞することもあるそうですが、僕が登った日はかなり空いているようでした。ここから山頂まで山小屋はありません。九合目は鳥居のみです。

 

富士山・須走ルート

富士山・須走ルート

富士山・須走ルート

富士山・須走ルート

富士山・須走ルート

 

八合目より上は、富士山本宮浅間大社の境内だそうで、山頂には霊場が点在しているとのこと。富士山の山頂はいわゆる一般的な山の山頂のように小さなスポットではなく、直径600メートル、深さ200メートルの大きな火口のまわり全体を指します。そしてこの火口をぐるりとまわることで、火口の様子や霊場、本当の頂である「剣ヶ峰」などをまわることを「お鉢巡り」と言います。

 

富士山山頂

富士山山頂

富士山山頂

富士山山頂

富士山山頂

 

山頂に着きました(正確には、先述のとおりもっと高い場所があります)。九合目から急に酸素が薄くなったように感じ、足腰というよりは心肺系の疲労がかなりあり、正直、しんどかったです。

 

山頂には神社の他、お土産屋さんと休憩処が一緒になった小屋があります。強風は相変わらずであったため、小屋の中に入って休憩。見晴館でもらった朝飯のおにぎりと、一杯500円の味噌汁でパワーを注入します。

 

お鉢巡りに向かいますが、強風のため断念。残念ですが下山することにしました。

 

富士山・須走ルート

富士山・須走ルート

富士山・須走ルート

富士山・須走ルート

富士山・須走ルート


帰りは同じく須走ルートの下山道です。しばらくは風が強かったですが、標高が下がると気候は安定し、先ほどまでの強風と冷気がウソのように、穏やかな山となりました。

 

富士山・須走ルート

 

ふと見上げると、既に山頂はかなり上の方に。

 

ふと見上げると、既に山頂はかなり上の方に。

富士山・須走ルート


須走の下山ルートは「走」の字が入っていることも分かるように、砂地をまさに駆け下りるルートです。そのため正確に計ってはいませんが、健脚な人であれば2時間もかからないで下山できると思うほどでした。

 

富士山・須走ルート

 

登山口であった五合目の一つ手前の休憩所で、くつの中にたまった砂を払います。

 

富士山・須走ルート

富士山・須走ルート

富士山・須走ルート

富士山・須走ルート

 

ここからは樹林帯を通り、無事、きのうの昼に居た場所、須走五合目に帰還。生ビールとパスタで疲れを癒やしました。

 

【感想】
足腰への疲労はほとんどありませんでした。ふだんからだを動かしている方であれば、それほど苦労することなく登れるルートだと思います。

 

ただ予想通り気候の変化が激しいため、装備の充実はマストです。僕は今回レイン用の手袋ではなかったため、指先がかなり冷たくなりました。ウエアはもちろんですが、手袋もレイン用をおすすめします。

 

一長一短あるようですが、高山病対策のサプリメントや頭痛薬もあると安心かもしれません。水場が皆無なので、からだを拭くウエットティッシュなどもあると便利かと。

 

最後に僕の体力データを紹介します。登山の参考にしてください。

 

【体力データ】
年齢:40歳(男性)
スポーツ歴:高校時代はラグビー部。大学時代は、サーフィン、インラインスケートに没頭。その後しばらくブランクあり。
現在の体力レベル:約8キロメートルのランニング、2~3時間のフットサル・サッカーを週に1~2度。183センチ73キロ。

 

次回はお鉢巡りをリベンジしたいと思います!