旧式Cannondale・MTBの整備~ハブのベアリング交換で前輪のガタつきを解消
前輪のガタつきはハブ内部のベアリング欠損が原因だった
Cannondaleのマウンテンバイク、F500タイプというかなりの旧式モデルに乗っています。
今から20年ほど前、当時遊んでいた友だちから2万円ほどで譲り受け、以降、少しずつ整備しながら、乗り続けてきました。
ここ数年はパンクもなく、特に整備する機会はなかったのですが、数日前突然、いつものように走行していると、前輪にガタつきを感じました。
ガタつきの原因を調べてみると、ホイールの中心、「ハブ」の部分がガタついていることが分かりました。
「Cannondale」「ハブ」「整備」「交換」といったキーワードでネット検索したのですが、出てくる情報は、どれも自分が欲しいと思っていた、自分で直せるレベルの内容ではありませんでした。
そこで一度は自力でのメンテナンスはあきらめ、近所の自転車チェーンに修理をお願いすることに。すると、次のような言葉が返ってきました。
「当店ではCannondaleとの取引がないので、まったく同じハブを取り寄せることがむずかしい状況です。交換ではなく整備だけで不調が直るケースもありますが、逆に、今よりも状態が悪化することもあります。ですから、ホイール全体を変えた方がいいと思います」
ハブだけであれば数千円で購入できますが、ホイール全体ともなれば、当然値段はアップし、7000円はかかるとのこと。ただ値段以上に気になったのは、乗り心地です。言ってみれば、ホイールは自転車の要。純正品から汎用品に交換すれば、間違いなく今の乗り心地ではなくなるだろう、と。これは、タイヤによって乗り心地が変わることを経験していたからの懸念でもありました。
一度はプロにお願いしようと思ったメンテナンスですが、「では自分で再度整備してみてむずかしいようだったら、お願いします」。僕はそう言い、再度、自分でハブの整備もしくは交換できるかどうか、自宅に戻ってチャレンジすることにしました。
バイク購入時に買ったメンテナンスブックを見たのですが、内容が専門的過ぎたこと。Cannondaleのハブ整備や交換についての具体的な記述がなかったこと。これらを理由に、改めてネット検索を深堀りしました。
するとついに、僕が知りたかったメンテナンスの内容が載っているブログを見つけることができました。ブログによれば、旧式Cannondaleのハブは、軸と2つのベアリングから構成されている。そのためハブの調子が悪いときは、ベアリングを交換すればよい、と。
ちなみに、Cannondaleに乗っていてあれですが、僕はそれまでタイヤの構造について、詳しくありませんでした。ハブを交換するには、単にホイールの中心の軸だけを変えればいいのだろうと思っていました。ところがネットであれこれ調べていくと、一般的なSHIMANO製のハブは、ベアリングが内臓された一体型であり(おそらく)、交換するには、スポークを外す必要があると。つまり、かなり大がかりな整備になるわけです。
一方、ベアリングが独立しているCannondaleのハブなら、自分でもなんとか整備できそうだな、と。光明がさした気分でした。そうしてそのブログを参考に、ハブのカバーを外してみることに。するとやっぱり、片側のベアリングの内輪が欠けていました。そしてその欠けが、前輪のガタつきとなっていたのです。
ネット通販サービスのモノタロウで、同じ型のベアリングが買えることは分かっていたため、現在の部品をバラして新しいものに変えれば、不調は直るはずだと。ようやく、整備の方向性が見えました。ちなみにベアリングのサイズは、外径30mm、内径10mm、幅9mmで、値段は1つ259円。2つ+送料500円を合わしても1000円ほどの出費で収まりました。
ベアリングが取れない
ただ、ここからの作業が一筋縄ではいきませんでした。ベアリングがまったく取れなかったのです。プラスチックハンマーでピンを叩いても、うんともすんとも言わない。カラス口で引っ張ってみても、同じく動く気配はありません。
考えてみれば、当然ですよね。20年以上にわたりジャストサイズの状態で強い負荷をかけていたわけですから、ガッチガッチに固まっているようでした。でも、直すにはこの壊れたベアリングを外すしかありません。僕は諦めずに何度も、ピンをハンマーで叩きました。
20回ほど叩いたときでしょうか。ようやく、ピンが外れました。見ると、正確にはベアリングは取れたのではなく、破損。そのおかげで、ピンが抜けたのでした。ただ破損していない方のベアリングは、いまだ、ハブにくっついたままです。そこで反対側から、大工さんが釘などをより深く打ち込むときに使うヘシコミという道具を使い、押し出すことに。打ち出した部分が壊れましたが、なんとか取り出すことができました。
いやあ、しかし。ベアリングとハブの精度・強度に驚き、そして感心しました。20年以上にわたり、歪んだりしていないのですから。テレビドラマ・下町ロケットでよく使われていたフレーズ「宇宙品質」との言葉が、頭に浮かびました。
あとは、抜き取ったピン、カバー、ハブの内部を清掃して、新しいベアリングを装着するだけです。
ベアリングが入らない
ところが、そうかんたんには作業は進みませんでした。新しいベアリングが、ピンに入らなかったのです。
ピンをよく見ると、ベアリングとの接地面に汚れが確認できました。おそらくこの汚れが、ミクロレベルで凹凸になっているのだろうと。そこで本来であればしてはいけないのでしょうが、鉄工ヤスリで表面を軽く削ることに。
一回削ってはベアリングを入れてみる。また削っては、入れてみる。その作業を繰り返すこと数回、ついに、ベアリングがスーッと入る状態になりました。ただもともとはぴったりの状態だったわけですから、一度入ってからは、逆に緩すぎた感じに。削る作業を行う際は、細心の注意を払って行ってください。
さて、あとは取り外した部品ならびに、新しいベアリングを組み上げるだけです。ハブにベアリングを挿入する際もジャストサイズで苦労しましたが、ここは木片をベアリングに当て、少しずつ叩いて押し込みました。
作業終了! タイヤを本体に組み、テストランを行ってみると、見事ガタつきは直っていました。
改めて整備手順をまとめておきますので、僕と同じような旧式のCannondaleに乗られていて、ハブの調子が悪くなった方は参考にしてみてください。
【作業手順まとめ】
- ホイールを車体から取り外す
- ホイールと車体を連結させるピンを抜く
- ベアリングとピンを覆っているカバーを外す ※カバーはただ被さっているだけなので簡単に外れます。ただし防水・防塵用のゴムシールがありますので、なくさないように
- ピンを叩いてベアリングを取り出す
- 清掃 ※ベアリングがきつい場合には鉄工ヤスリで微調整
- 新しいベアリングに交換
- 元の状態にセッティング