フリーライター『日日maika’i』

フリーライター杉山 忠義が書くブログです。

田園調布・秋葉のクロマツ

田園調布の街は、20世紀初頭につくられました。都市計画の指揮を執ったのは、明治の大実業家、渋沢栄一。海外に行く機会も多かった渋沢栄一は、イギリス人都市計画家エベネザー・ハワード氏が提唱する「田園都市計画」に影響を受け、当時の日本ではまだなかった、郊外型の住宅街をこの地につくりました。

 

田園調布と聞くと、高級住宅街というイメージを持つ方が多いでしょうが、田園調布の本当の魅力は、昔から住む住民の人柄なんだとか。実際、今回紹介する「秋葉のクロマツ」が立つ敷地に住む方に連絡を取った際にも、とても気さくに、お話をさせていただきました。
 

田園調布駅を降りると、国土交通省が定めた都市景観100選に選ばれている、見事な放射同心円状の街並みと、イチョウ並木が迎えてくれます。秋にくれば、異なるけれども素晴らしい風景が見られるんだろうな。そんなことを想像しながら、目的地までの道のりを歩きました。

 

秋葉のクロマツまでは、駅から歩いて15分ほど。静かな住宅街を、右に左にと進みます(道があみだくじのようになっていて、長く真っ直ぐに進めないのです)。犬の散歩をしている方などが多く、閑静というよりも、のどかとの印象を持ちました。

  

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高さ約17メートル。幹周り約4メートルの堂々とした風体ですが、住宅街の中に立っているためか、窮屈な印象を受けました。ただあたりを見渡すと、クロマツ以外にも、多くの松の木が多く立っています。おそらく松にとっては、過ごしやすい環境なのでしょう。

 

「秋葉のクロマツ」という名前は、樹の根元に秋葉神社の祠(ほこら)が、まつられているのが由来です。樹齢は約300年。つまり、今のような田園都市ができる以前からずっとこの地で、脇に流れる多摩川と共に生きてきたわけですから、その生命力をあやかり、ご神木としてまつられたのでしょう。

 

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木が生えている場所は私有地ですので入れませんが、すぐ脇には行くことができます。近づいてみると、クロマツの樹皮の大きさと、ゴツさ、亀甲模様と呼ぶにぴったりの迫力にびっくり。

 

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秋葉のクロマツは東京都の天然記念物に指定され、都内三大巨松と称されていますが、樹皮の豪華さではナンバー1でしょう。祠に手を合わせた後、帰路につきました。