六義園のシダレザクラ
六義園(りくぎえん)はもともと幕府所有の日本庭園でした。明治時代に入ると三菱財閥を創立した岩崎弥太郎氏の手に渡り、彼の財力により、さらに豪華な庭になっていきます。
現在では東京都が所有しており、入園料300円を支払えば、誰でも入園することができます。
六義園を訪れる多くの人がまず感じることは、「りくぎえん」というユニークなネーミングの由来でしょう。ガイドさんによれば、中国の詩経からきているとのこと。
六義園を訪れたのは、高さ約15メートル、幅約20メートルのシダレザクラが見たかったからです。「迫力がある」というよりも「荘厳」との言葉がぴったりの印象を持ちました。
訪れた日が雨だったからなのか、それとも日本庭園の厳かな雰囲気なのかは分かりませんが、シダレザクラの前に立つと、しばし時を忘れ、心が洗われるような気持ちになりました。
以前は柵がなく、木のそばまで行けたそうです。ただサクラは弱いため、大勢の人が一斉に根っこの上に乗ると、樹が衰弱してしまうそうです。そのため現在では柵を設け、さらに草花を樹の根元に生やし、根っこに酸素を多く与えるようにしているそうです。小さな草花が、大きなシダレザクラの命を陰で支えている。縁の下の力持ち的な存在と言えるのです。
花は五分咲きといったところでした。シダレザクラはソメイヨシノよりも開花の時期が早い種類です。この文章が掲載されている頃には、全国各地でソメイヨシノが満開となり、そのさくらの花の下で、大勢の笑い声と笑顔が見られることでしょう。