浅草・浅草寺のイチョウ
浅草寺といえば、寺の入り口に威風堂々と吊り下がっている、雷門のロゴが入った大きな赤提灯が有名なお寺です。日本全国からの観光客だけでなく、世界中から多くの観光客が毎日、寺には訪れているそうです。その数なんと、年間3000万人にも。
私が訪れた日も、平日の昼間でしたが、中高生の修学旅行生から、アジア人、欧米人の旅行者と、多くの観光客でにぎわっていました。地元の方なのでしょう、愛犬を連れて気持ちよそうに寺内を散歩する人の姿も多く見られました。
浅草寺は東京都内で最も古い寺院です。歴史は約1400年もあり、園内には寺の歴史と一緒に歩んできたのでしょう、大きなイチョウの樹がたくさん立っていて、樹齢は600~800年といわれています。
そしてこのイチョウの樹は、その長い歴史のなかで、ここ浅草寺にずっと立ち、多くの光景(歴史)を見てきたたのです。たとえば今から約60年前。第二次世界大戦中、東京は大空襲に襲われました。本来であれば神社・仏閣は戦火に遭うことがないのですが、1945年3月10日、浅草寺は火の海となりました。浅草寺をこれまで何度も訪れていましたが、この事実を知ったのは初めて。そしてそのような史実を教えてくれたのが、まさにこの、大イチョウだったのです。
イチョウの樹に近づいてみると、なんと、焼け焦げた跡があるではありませんか。触ればススが手につきます。まるで、つい最近燃えたかのような。
ですがもちろん、樹はしっかりと生きています。夏になればたくさんの緑の葉っぱで身をまとい、秋になれば、銀杏の実もたくさんつけるそうです。
イチョウは他の木に比べて水分をより多く含んでいるそうで、火災の際には周りの建物を守ってくれるんだとか。ですから“神木”とも呼ばれ、神社仏閣では古来より植えられてきたそうです。
観光客がにぎやかに行き来する雑踏のなか、傷を負いながらも堂々と、そしてたくましく生きるイチョウの巨樹を見て「よし、自分もがんばろう!」そんな気持ちになりました。