フリーライター『日日maika’i』

フリーライター杉山 忠義が書くブログです。

あきる野市・五柱神社の大杉

五柱神社の創建は不詳ですが、地域住民信仰の場として祀られ、元亀・大正時代(1570~1592)には、境内の大部分を社殿が占めていたそうです。その後、現在の小ぢんまりとした社殿に、寛政年中(1789~1801)の頃に改築されました。

同神社への道のりは、JR五日市線の終点、武蔵五日市駅からバスに乗り約20分。軍道(ぐんどう)バス停で降り、歩いて10分ほどです。近くには瀬音の湯(せおとのゆ)という温泉施設もある、自然豊かな地域です。

五柱神社の大杉

大杉は人里から少し離れた山の麓に立っているため、訪れるには、民家の脇にある急な小道を登っていきます。バス停から歩いていくと、まわりの樹より頭2つほど抜きん出た、大杉の姿が目に飛び込んできました。バス停付近には特に看板がないため、停留所前にある商店の方に樹のことを訊くと、二つ返事で教えてくれました。地元でも有名な樹であることが分かります。


都内一番の太さを誇る圧倒的な存在感を放つスギだと聞いていたので、その巨体を楽しみに神社を訪れると、イメージ以上の堂々たる姿に圧倒され、樹を前に、しばし足が止まりました。大杉のために神社が創建された。そんな印象を持つほどの存在感です。

五柱神社の大杉
五柱神社の大杉
五柱神社の大杉
五柱神社の大杉

大杉を守るように、周りに若いスギが立っているのも印象的です。

五柱神社の大杉

樹の脇にある2002年に立てられた案内板によると、樹齢約400年、樹高52m、幹周り8mとあります。主幹のダメージはほとんど見られず、樹勢が良好であることから、まだ成長過程の樹であることが分かります。実際、2008年に別の方が測定したデータでは、幹周りは8.73mとのことでした。

斜面に立っているのに不安定という感じは全くなく、大半のスギと比べると圧倒的に太い根回りから、地面に広がった根でしっかりと斜面を掴んでいます。「重厚」「どっしり」という言葉がぴったりです。

五柱神社の大杉

根元は1本ですが、地上から10mほどの高さで主幹が2つに分かれ、それまで枝葉は一切ありません。まさにスギという名前の由来(真っ直ぐ伸びる木)そのままです。

五柱神社の大杉

上の枝葉の方に目を向けると、もぎ取られるようなかたちで折れている枝が幾つかありました。神社の方に聞くと、落雷などの自然災害によるものなんだとか。ただ、現在の元気な樹の様子を見る限りでは、特に問題はなさそうです。

五柱神社の大杉

社殿に向かって左側にある石段を登ると、樹の空洞の前に小さな祠があります。地元の氏子の方が、数年前に奉祀したとのことでした。

五柱神社の大杉
五柱神社の大杉

空洞へは、今では入り口が狭くなってしまい人が入ることはできませんが、以前は中で遊べるほど入り口が開いていたそうです。実際に中を覗くと、大人が十分入る空間が広がっていました。

1959年の伊勢湾台風の際には、周辺の大杉が倒れる中、このスギだけはびくともしなかったそうです。これから先も成長し続け、地域のシンボルとしてその力強さを存分に発揮してほしいと思います。