フリーライター『日日maika’i』

フリーライター杉山 忠義が書くブログです。

鎌倉・建長寺のビャクシン

鎌倉五山のひとつである建長寺は、建長5年(1253年)、鎌倉幕府第5代執権の北条時頼(ほうじょうときより)の命により、創建されました。開山者は臨済宗の僧侶、蘭渓道隆(らんけいどうりゅう)。南宋(現在の中国四川省)より渡来し、日本に禅宗を広めた人物でもあります。

 

建長寺のビャクシン

 

寺内には大きな柏慎(ビャクシン)の樹が立っています。ビャクシンはヒノキ科の針葉樹で、イブキとも呼ばれます。建長寺は禅寺です。そしてビャクシンの多くが、禅寺に植えられているそうです。

 

建長寺に立っている大きなビャクシンは、前出の蘭渓道隆が中国よりビャクシンの種を持ってきて、鎌倉の地に植えたと記されています。ですから樹齢は寺の歴史と同じく、757年(2010年現在)と考えられています。

 

樹高は約13メートル。他の巨樹と比べると、それほど高くありません。ただ太くたくましい、また歴史を感じさせる質感を持つ幹に加え、横に広がる緑の針葉樹の葉と、8本立ち並んでいる迫力もあり、これまで見てきた巨樹とは違い、平面的な横の広がりでの存在感を示している樹だと感じました。

 

建長寺のビャクシン

 

巨樹に共通する問題ですが、樹も私たち人と同じく生きています。当然、病気にかかることもありますし、大勢の人が一度に樹の根元に集まり根っこを踏んでしまっては、樹は次第に弱っていきます。建長寺のビャクシンは神奈川県の「名木100選」、鎌倉市の天然記念物に指定されている大切な樹。そこで今では樹木医さんが定期的に診察を行い、樹を保護しているそうです。

 

建長寺のビャクシン

 

ビャクシンは1500年もの樹齢を誇る樹もあるそうで、そのような老木から比べれば、建長寺のビャクシンはまだまだ元気。実際、葉は緑が鮮やかで、生きる、力強さを感じました。そしてそんなビャクシンの力強さにあやかっているのでしょうか、宿り木的な役目も果たしているようで、まるで大海をゆうゆうと泳ぐ、くじらのような存在のように思えたのでした。