フリーライター『日日maika’i』

フリーライター杉山 忠義が書くブログです。

八王子の甲州街道に連なるイチョウ並木

甲州街道江戸幕府によって整備された道で、東京・日本橋を出発点とし、新宿、府中、八王子を通過。神奈川県・相模原、上野原を抜け、山梨・甲府、長野・下諏訪で中山道と合流する街道です。江戸幕府を治めていた徳川家康に有事があった際の逃げ道として、整備されたといわれています。

 

八王子甲州街道のイチョウ並木

 

JR中央線高尾駅」の北口を降りると、すぐ目の前に甲州街道があり、駅前の交差点がイチョウ並木のスタート地点となっています。ここから東京方面に向かって道の両側の沿道に4メートルほどの間隔で隣駅の西八王子駅あたりまで、全長約4キロメートルにわたりイチョウの樹が立ち並んでいます。

 

私が訪れたのは11月下旬。紅葉は大分進んでいましたが、樹によっては緑色の葉を残している樹もあり、中には黄色と緑色が混ざったユニークな葉の樹もありました。

 

 

八王子甲州街道のイチョウ並木

 

と思えば、ほとんど葉が落ちた樹も。日当たり状態、自動車の排気ガスの影響など樹が立つ場所の環境により、紅葉にはかなり差があるようです。

 

 

このイチョウ並木は、今から80年前の1929年に、大正天皇の御陵(皇室専用の墓)造営を記念して植えられました。現在では大正天皇だけでなく、貞明皇后(ていめいこうごう)、昭和天皇香淳皇后(こうじゅんこうごう)の御陵が造営され、正式名称を武蔵陵墓地(むさしりょうぼち)、通称多摩御陵(たまごりょう)とも呼ばれています。

 

東京方面に向かって歩くと、右手にはJRの線路が平行してずっと続き、左には緑豊かな陵南(りょうなん)公園や武蔵陵墓地があり、魅力的な散歩道になっています。歩道もそれほど狭くなく、私と同じようにゆっくりとイチョウ並木や辺りの景色を楽しみながら歩いている人、犬を散歩している人、ランナーの姿がありました。

 

イチョウ並木をずっと歩いていくと、紅葉の差だけでなく、樹の成長度合いの違いも目立ちました。

 

樹は当時一斉に768本植えられましたが、その後戦争による空襲被害、先ほど書いた自動車排気ガスの影響などにより、ダメになってしまった樹があるそうです。ですが随時新しい樹を植えているため、樹の大きさがまちまち、ということでした。現在は763本の樹が立っています。

 

イチョウの樹といえば雌の樹には銀杏がなることで知られています。ここのイチョウ並木は雄雌半々とのことで、時期になると一斉に銀杏の実を付けます。私が歩いた時は既に収穫された後でしたが、それでも残りわずかな実を捜す人の姿が見られ、実際に私も見つけることができました。

 

 

道のりには3つほど歩道橋があり、その上から眺める風景は、下の歩道を歩いている風景とは一味違い、見応えがあります。歩道橋の階段には、階段を覆い尽くすほどの落葉がありました。

 

八王子甲州街道のイチョウ並木

 

歩き始めた頃明るかった辺りの様子は、イチョウ並木の全長を歩き終えた頃には、うす暗くなっていました。街灯にライトアップされているイチョウ並木の様子も、風情がありました。

 

八王子甲州街道のイチョウ並木