フリーライター『日日maika’i』

フリーライター杉山 忠義が書くブログです。

麻布山善福寺の「逆さイチョウ」

麻布山善福寺へのアクセスは、東京メトロ南北線都営大江戸線麻布十番駅から徒歩10分ほどです。都内でも有数の高級住宅街として知られている、麻布十番の商店街を通っていきます。

麻布十番

外国人やセレブな雰囲気が漂う子ども連れの母親の姿も見られ、住みやすい街という印象を持ちました。

麻布山善福寺は、弘法大師が関東一円に真言宗を広めるために建てた寺のひとつで、天長元年(824年)に建立されました。しかし1232年に親鸞が寺を訪れたのをきっかけに、浄土真宗に改宗。以前紹介した浅草・浅草寺についで都内で2番目に長い約1200年の歴史を持ちます。

鎌倉時代には亀山天皇勅願寺(ちょくがんじ:皇室繁栄、国家の平和を願う格式高い寺)に。江戸時代末期には、初代米国大使館公司の宿舎にもなった由緒ある寺で、福沢諭吉夫妻のお墓もあります。

寺は斜面に位置していて、一般道から山門までは長い参道が続き、逆さイチョウは参道から本堂に向かって左側にある墓地内に立っています。写真では高層マンションの左下に写っています。

麻布山善福寺の「逆さイチョウ」

墓地に入ると親鸞の大きな像があり、親鸞から見て右側、位置的には山門のそば、墓地の端のほうに逆さイチョウは立っています。

幹の上部は損なわれていて、天にスッと枝葉が伸びている様子はなく、数本の幹が密集し横に広がり、一本の太い樹を形作っているのが分かります。そのため名前の由来にもなっているとおり、垂れ下がった状態(逆さ)や横に伸びている枝が多いのが特徴です。

麻布山善福寺の「逆さイチョウ」
麻布山善福寺の「逆さイチョウ」

しかしサイズたるや相当な迫力で、都内最大のイチョウというだけでなく、島を除く東京都で最大の樹であり、幹周りは10mを超えています。推定樹齢750年以上、樹高約20m、国の天然記念物指定です。

麻布山善福寺の「逆さイチョウ」

元気な枝葉は、そろそろ紅葉がはじまりそうな雰囲気でした。しかし樹の裏側(墓地中心部とは逆側です)に回ると、昭和20年の東京大空襲で受けた被害が痛々しく残っていました。寺の本堂も全焼したそうです。

麻布山善福寺の「逆さイチョウ」

ただ専門家が幹周りを測定したところ、現在でも成長しているとのこと。そのため現在の幹周りは、11mを超えているかもしれません。改めてイチョウの生命力を感じました。

親鸞が地面に挿した杖から成長した」「乳の出がよくなるようにと大きな気根を削る母親が大勢訪れた」など。逆さイチョウには言い伝えがいくつか残っています。

麻布山善福寺の「逆さイチョウ」

墓地入り口の案内板にもありますが、断りなしでのイチョウの撮影はご遠慮ください、とのこと。訪れる際は必ず事前に寺務所にて許可・確認をとってください。余談ですが、寺務所前には3羽の九官鳥がいて、色々な言葉を話しかけてくれます。