フリーライター『日日maika’i』

フリーライター杉山 忠義が書くブログです。

片貝県定公園の洞杉群

片貝県定公園の洞杉群

 

富山県魚津市にある片貝県定公園は、立山連峰北、毛勝三山(けかちさんざん)、僧ヶ岳(そうがだけ)の西側ふもとを南北に流れる片貝川流域に広がる公園で、2290ヘクタールという広さを誇ります。標高は500~600m、サルやクマといった動物が暮らす自然豊かな環境です。一方で市街地から十数キロというアクセスの良さから、観光スポットとしても人気を集めています。

 

市街地からバスが出ていますが本数が限られているため、車でのアクセスが便利です。JR魚津駅前の観光案内所でレンタルできる電動自転車も便利で、私はこのレンタサイクルを利用。料金は半日300円でした。

 

市街地から洞杉までの道のりは、ひたすら川沿いの路を南下するのみ。市街地を抜けると山が近づき景色は一変します。道の勾配も険しくなり、ペダルが重く感じるように。電動自転車のありがたみを感じますが、電動アシストの使いすぎにはご注意を。僕は最初から使いまくっていたので、途中で電池切れになりそうでした(苦笑)。

 

龍石

 

途中、野生の猿に遭遇しました。しかし「野生の猿=キケン」とのイメージを持っていたので、写真は撮らずにそのまま通過。特に、襲ってくるような雰囲気はありませんでしたが。落差30mほどの沌滝(どんたき)、片貝川山ノ守キャンプ場、川原に大きな石がご転がる蛇石(龍石)といった観光スポットも通過します。

 

群生地付近はかなりの勾配のため、自転車よりも歩いた方が楽です。自動車でのアクセスも制限されています。

 

片貝県定公園の洞杉群

 

洞杉の群生地である山を登っていくと、対の洞杉がまず迎えてくれます。立山連峰に分布する立山杉(タテヤマスギ)と同じ種類だといわれる洞杉は、寒さや雪に強い特徴を持ち、一般的にイメージする真っ直ぐ天に伸びるスギとは異なる樹形をしています。

 

片貝県定公園の洞杉群

片貝県定公園の洞杉群

 

雪の重さで枝が折れ、それでもなお新しい枝を出し、天に向って伸び続けることを毎年繰り返した結果、このような姿になったといわれています。そのため中が空洞になっている樹も多く、それが洞杉の由来なんだとか。天に伸びる力を根元回りに使った、との印象を持ちました。

 

片貝県定公園の洞杉群

片貝県定公園の洞杉群

片貝県定公園の洞杉群

片貝県定公園の洞杉群

片貝県定公園の洞杉群

片貝県定公園の洞杉群

片貝県定公園の洞杉群

 

片貝県定公園の洞杉群


洞杉の数は約120本といわれていますが、山中に立つため正確ではありません。推定樹齢は500年以上、最大の樹の幹周りは約30m。これは4本の幹があわさった太さであり、最も太い幹の太さだけで約12mもあるんだとか。この数字は、以前紹介した中川の箒杉の幹周りと同じです。

 

樹によって樹形が異なるだけでなく、見る場所によっても雰囲気が変わるため、一本の樹をじっくりと眺めてしまいます。こんな感じで整備された山中を散策するうちに、いくつか共通する点を見つけました。

 

  • 急傾斜地かつ岩渕を好み、ときには大きな岩を根で抱えるように立っている。
  • 幹が幾つも重なりあって1つの大きな樹を形成している。
  • 地面から数メートルの地点で一度、幹が直角かつ放射状に折れ曲がり、そこから再び天に向って伸びている。
  • 樹高はそれほど高くなく、上の方の枝は細く放射状に広がっている。

 

行きは登り坂のため、洞杉の群生地まで徒歩も入れて2時間ほどかかりました。そして散策に約1時間。しかし帰りは下りなのでペダルをこぐ必要がほとんどなく、行きの辛さがウソのように、さっそうと風をきって進みます。おそらく30分ほどで自転車を借りた観光案内所がある駅まで着いたかと。レンタル自転車を利用する方は参考にしてください。

 

立山黒部アルペンルートの美女平エリアには、タテヤマスギの巨樹の群生が洞杉と同じく100数十本立ち、巨樹の森となっているそうです。次回は登山も兼ねて、こちらの巨樹を訪れてみたいと思います。