フリーライター『日日maika’i』

フリーライター杉山 忠義が書くブログです。

明治神宮外苑に立つ樹々の数々

近代化への大きな飛躍期となった、明治時代を治めていた明治天皇およびその皇后、昭憲皇太后の御遺徳を後世に残そうと、明治神宮外苑は大正15年(1926年)に創建されました。「外苑」の意味は諸説ありますが、明治神宮(こちらを内苑と称します)の一部であり、区別するためとの解釈が一般的です。

 

敷地の広さは約27ヘクタール。明治天皇および皇后の御事蹟が描かれた絵画80点が展示されている「聖徳記念絵画館(せいとくきねんかいがかん)」を中心に、多くのランナーが見られる円周道路が整備され、明治神宮野球場(通称:神宮球場)、軟式球場、打撃練習場(バッティングドーム)、テニスコート、フットサルコート、アイススケート場、ゴルフ練習場などのスポーツ施設が多く立ち並んでいます(国立競技場および秩父宮ラグビー場は他の施設です)。

 

広さに加え、都会に位置していることから、アクセスも抜群です。JR中央・総武線では「信濃町駅」および「千駄ヶ谷駅」から。地下鉄では、東京メトロ銀座線、東京メトロ半蔵門線都営大江戸線が乗り入れる「青山一丁目駅」のほか、「外苑前駅」や「国立競技場駅」からでもアクセス可能で、どの駅からもでも徒歩数分、あるいは駅前という立地です。

 

明治神宮外苑

明治神宮外苑

明治神宮外苑

 

青山一丁目駅で降り、渋谷方面に青山通り(国道246号)を歩いていくと、右手に神宮外苑のシンボルともいえる、手入れの行き届いた146本のイチョウが魅せる「いちょう並木」が見えてきます。

 

並木のイチョウはすべて、新宿御苑に立つイチョウの種子から育った樹で、明治神宮の内苑で育てられ、外苑の竣功に際し、大正12年(1923年)にこの地に植えられました。並木は4列で、歩道には黄色い天然のアーケードがかかっています。

 

案内板には、イチョウ青山通りから絵画館にむかって、遠近法を利用するために樹高の高い順に植えられているとの記述が(最高28m、最低17m)。その景観美に納得です。

 

明治神宮外苑

 

苑内には、イチョウ以外にもエピソードを持つ樹が幾つか立っています。外苑東通り側に立つ「御観兵榎(ごかんべいえのき)」は、外苑がまだ青山練兵場であった時代に、明治天皇がいつもこの場所で兵の凱旋を見守っていたエピソードがあり、写真の樹はその子孫・二代目になります。

 

明治神宮外苑のクスノキ

明治神宮外苑のクスノキ

 

絵画館裏に立つクス(楠)は、明治天皇御大喪の際に、この場所に御轜車(ひつぎを乗せる車)を安置していたというエピソードが。

 

明治神宮外苑のヒトツバタゴ

 

絵画館を囲むにように立つ木立の中にある「ヒトツバタゴ」は、別名「なんじゃもんじゃ」と呼ばれ、5月の頃になるとまるで雪を被ったかのような白い花を咲かせるそうです。幕末の頃からこの地に立ち、全国的にも珍しい種ですが、切られるおそれがあったことから、天然記念物に指定。しかし残念なことに、以前からある樹は昭和8年に枯死。写真の樹はその子孫・二代目になります(天然記念物指定は受けていません)。

 

明治神宮外苑のシロマツ

明治神宮外苑のシロマツ

 

同じく貴重な種であるシロマツは、絵画館前の庭に広がる池の両側に、手入れの行き届いた美しい樹形で合計6本並び立ち、気品を漂わせています。調べると、原産国である中国を筆頭に世界各地で高貴な樹とされ、王宮や寺院に植えられているそうです。

 

明治神宮外苑のシロマツ

 

並木道にはベンチも用意されています。お気に入りの本や音楽を手に、休日にふらりと散歩してみてはいかがでしょう。